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白塗りの壁。四畳程度の小さな部屋。彼女はここでチャットレディをしている。元々はなんとなく始めた仕事だ。だがそれは今、彼女にとって天職となっていた。チャットレディを始める前の彼女はと云えば、就職活動に失敗し何をするわけでも無く、ただ毎日をぷらぷらと過ごしていた。カーテン越しに高く昇った太陽の光に照らされて、彼女は目を覚ます。いつもと変わらず天井の低い白い部屋。箪笥の上に置いた下半身裸の熊の人形が今日も彼女に微笑みかける。気だるい身体を引きずりながら彼女は上半身を起こした。何をするわけでもなく暫くぼーっと部屋を見る。「どうしてだろう?」彼女はふとそう思った。学校を卒業してからもう半年。早いものだ。当時、周りの友人達はどんどん内定を勝ち取っていた。そんな中で取り残されてしまった彼女。どうして私だけ…そんな思いばかりが募った。ひたすら自己分析を繰り返す。それでも答えは靄の様に漂って何処かへと消えていく。「きっと自分は駄目なんだ」そう思った。面接に落ちる事。それは自分の存在自体、全てを否定されたような気分だった。不採用通知を見る度に劣等感が募っていく。この頃は、就職する事も半ば諦め、何をするでもなく過ぎていく毎日をただ消費するだけの味気ない生活だった。やる事と云えばインターネット。だがいい加減ただネットサーフィンするだけの生活にも飽きてきていた。そこで彼女は、初めてチャットをやってみようと思ったのだった。やってみると意外と楽しい。チャットを通して色々な人と話した。就職活動が上手く行かず悩んでいる、自分と同じような境遇の人とも仲良くなった。「自分はなんて駄目な人間なんだろう」そんな思いにばかり囚われていたが、そう思っているのは自分だけじゃなかったんだなと少し安心した。そして、彼女少しずつ自己を取り戻して行った。「もう一度就職活動をしてみよう」彼女がそう思えるようになった頃。いつもの様にネットサーフィンをしていると、チャットレディの募集広告が目に付いた。そしてそこから、彼女のチャットレディとしての生活が始まったのだった。
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