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「マッサージ器の鬼」彼女は周囲の人からそう呼ばれている。それは、彼女のマッサージ器に対する情熱が尋常じゃないからだ。マッサージ器専門家として産声を上げたのは、小学3年生のとき。父の使っているマッサージ器を肩に当てたときに始まった。小学〇ながら常に肩が凝っていた彼女。マッサージ器が発する振動は、石の様に固い肩を揉みほぐしてくれるのであった。それから少しでも振動するモノは彼女の遊び道具となった。「マッサージ器の振動は彼女にとって揺り篭の様なモノだ。」ある専門家はこう分析した。人間誰でも自分にしかない癖。譲れないモノがあるものだ。舌なめずりや、頭をかく仕草、寝るときは何かに手を挟んでいなくては落ち着かない。等々・・・。彼女にとって譲れないモノがマッサージ器であり、癖なのだ。それからというもの、彼女はより良い振動と落ち着きを与えてくれるマッサージ器を探す旅にでた。彼女が一番最初に行ったのは、地元の小さな家電量販店。そこで見た光景は今でも心の中で鮮明に映し出せる。そこには無数のマッサージ器、椅子、エクササイズマシーン・・・。ここは天国ではないか。と勘違いをした程感動した。彼女は朝早くから来て、夕方日が暮れるまで、そこに居続けた。様々な振動が彼女を離さなかったのだ。あまりにも彼女が幸せそうにマッサージ器を当てているので、店員のおっさんがこう言った「よかったらそれ上げるから早く家に帰りなさい」と。筋の通らないことは嫌いな彼女だが、自分の真の欲求には勝てなかった。おっさんからマッサージ器貰いウキウキで帰っていった。家に着くなり、母に「それはなに?」と問いただされた。「マッサージ器」と素直に答えると、母は顔を真っ赤にして、それを取り上げた。彼女は母がなぜそんなことをするのか理解が出来ず、そして大事なものを奪われた悲しみから、玄関で倒れこむように泣いた。しかし、諦めない。彼女のマッサージ器への執念はそんな事では揺るがない。そんな経験が、彼女がマッサージ器の鬼になるステップになっていたことは、この時はまだ誰も知る由もない。
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